福岡地方裁判所久留米支部 事件番号不詳 判決
主文
被告人を懲役一年に処する。
但し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
罪となるべき事実
被告人は肩書会社社長であるが情を知らない日本通運株式会社久留米支店係員をして虚偽のアマニ油ドラム三十本の倉荷証券を作成させた上これを真正なものの如く装い担保に供して株式会社福岡銀行三本松支店から金百万円を借入れようと企て、昭和二十六年二月二十日頃自社の資材係溝上元治をして前記通運株式会社支店倉庫にアマニ油ドラム四本大豆油ドラム一本アマニ油廃液及水入無価値のドラム二十五本計ドラム三十本を入庫させ、恰も実物のアマニ油ドラム三十本を入庫したように装はせ同支店倉庫係に全部アマニ油入りと誤信させ同支店名義のアマニ油三十本の倉荷証券を作成交付させこれを前記溝上から受取り同年同月二十六、七日頃自社取締役豊福冬一にこれを交付の上、予て金策の諒解を得ていた株式会社福岡銀行三本松支店に赴かせ同支店長行武末雄に対し前記倉荷証券を真正なものの如く装い呈示させこれを担保に供して、金百万円の借入方を交渉させ同支店長に右証券を真正な倉荷証券と誤信させ其の頃期間二箇月の約束で金百万円を貸与交付させ以てこれを騙取したものである。
証拠の標目(省略)
法令の適用
よつて、刑法第二百四十六条第一項を適用し被告人を懲役一年に処し、但し諸般の情状に鑑み刑法第二十五条に則り、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予し尚刑事訴訟法第百八十一条第一項を適用し訴訟費用は全部被告人に負担させることとし主文の通り判決する。(昭和二七年三月一四日福岡地方裁判所久留米支部)